似顔絵 叔父
おじちゃん、とは父の叔父:光男おじちゃんのことで、
群馬の藤岡に住む、元大工の棟梁だ。
あまり親戚に挨拶に行かないのだが、このおじちゃんの家にだけは定期的に遊びにいっていた。行くだけで喜ばれるし、何より性格が豪快で好きだった。おじちゃんは器用なので、鯉を飼いたければ、自分で庭に池をつくり、咲き方が美しい紅葉を見たら、若い集に届けさせ玄関の横に植える、
ただ、数年前から急に身体の具合が悪くなっていき、かなり心配だった。ここ数年は、親戚まわりにも訃報ばかりが届くので、「もしかして、もう長くないかも」と感じた私は、一昨年の正月に親戚一同が集まった際、スケッチしておいた。
しかし持続力がない私は、「後で仕上げよう」と思って2年もたってしまった。
ようやく大掃除がてら、スケッチを見直し、正月に着色し額装して完成した。そして絵を仕上げて渡すためにおじちゃんの家にむかった。
しかし、おじちゃんの家では予想外のことがおきていた。「いやいや、まーずえれえことになった」威勢のいい声が聞こえる。おじちゃんが木の葉まみれで登場した。どうやら、飼っている柴犬が逃げたらしい。そのまま犬を探して出かけたら、近所の人が発見して、犬は自分から犬小屋に戻ったらしい。話を聞くと毎日動きたくてしょうがなく、毎朝4時に目覚めて畑を作っているらしい。なんだ、超元気じゃん!
絵を見せると、
ハエ~、てえしたもんだ、ふぅちゃん!なあ!
ほ~、コリャたまげたぎゃ、
んま~、まんず、ようふぅちゃんの父親に似とるんな、ヨォ。
絵は生きているうちに渡せてなにより。
追記:先日、大往生を迎えました。享年92歳。ご冥福をお祈り申し上げます。
0件のコメント