Prologue

 

子供の頃からそんな調子だったので、私はチラシの裏にいろいろな絵を真似しては描いていた。

特に、当時放映していたアニメをよく描いた。ドラえもん。ドラゴンボール。ガンダム。

 

ひととおりアニメの線を写していると、何かしら訓練みたいになり、そのうち大まかに形をとらえれるようになった。色づかいなども、同じ赤でもサーモンピンクから、濃いワインレッドまで色々幅があることに気づいた。もう少し成長すると、神社で龍とか鷹を見て「これは格好良い」と思うようになり、小学高学年で興味は神社仏閣の仁王像や彫刻に興味がいくようになる。

 

幼稚園でよく描いていたのは、機動戦士ガンダムであり、特にラストシューティング※のポーズが大好きだった。首がなくなりながらも、敵のジオングと戦い相打ちになる儚さみたいなものが子供のころから好きなのである。

※「機動戦士ガンダム」最終話にてガンダムが両脚で地面を踏みしめ、右手のライフルを真上へ突き出すポーズ

 

おまけに、なぜそのシーンを描いたかというと、当時(4歳か5歳)の技術ではガンダムの顔が描けなかったのである。何も見ずともガンダムを描くには、顔がないラストシューティングがちょうどいい、と思っていた。

 

そんなこんなで、幼稚園の自由時間でも友達と遊ばず画用紙にひとり絵を描いていると、クラスの男の子が覗いてきて「ふーちゃん、うまいな!パーマン※描いてよ!!」と言ってきた。

※当時はやっていたアニメ(説明略)

 

もちろんガンダムに比べたら労力はいらなかった。私はいいよ、とパーマンを描いてその男の子にあげた。

 

すると、それを見ていた友達から次から次へと依頼がきた。お昼休みの自由時間をぜんぶを使い、そのまま同じように、ほとんどクラス全員に描いた記憶がある。

 

みんなからは絵を喜んでもらい、さらに「うまいね!うまい!」と言われた。私は褒められるのに慣れていなかったし、ひとりと会話するのも大変なのに、同時に3人以上から話しかけられたことで私は困惑した。たぶん私の目は教室の床ばかりを見つめてオロオロしていただろう。

 

そして、おもわず私はちいさな声で「あんまり上手いって言わないで」と、友達の前で言ってしまった。

 

すると、それを聞きつけたひときわ身体の大きい男の子が、私に言ってきた。

「じゃあヘタっていえばいいのか!!」

「ヘタ!ヘタ!下手クソ!!」

 

あまりにも耳元で大きな声で叫ばれたので、その日ずっと耳の奥が痛くなってしまった。

次の日から、私は一層、孤独が好きになった。

 

カテゴリー: エッセイ

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