ふるいの紹介『考えの整頓』

本書は雑誌『暮しの手帖』に連載の人気コーナー「考えの整とん」6年間分が編纂され、書籍化されたものだ。著者はNHK教育番組『ピタゴラスイッチ』の企画・監修を務める佐藤雅彦。東京藝大大学院で映像の教鞭をとる表現の研究者である。

著者は電通勤務時代、CMプランナーとして湖池屋「ポリンキー」、「ドンタコス」、NEC「バザールでござーる」など、様々なヒットCMを手がけた。同じフレーズをリフレインで繰り返すパターンは、リズム感にあふれ記憶に残りやすい。中でも印象的だったのは、1988年に放映された湖池屋「トップル」のCMで、アニメーションの王様がだだっ子のように「お願いじゃ、お願いじゃ、お願いじゃ、ワシの一生のお願いじゃ。トップル買って、トップル買って、湖池屋トップル、サクサクじゃ」というセリフの後、いきなり「コマーシャルはひかえめに」と、まるで公共放送のような指摘が挟み込まれる。当時、子供ながらもその遊び心ある演出にワクワクした。

氏が本書で紹介する視点はユニークで、読み手は楽な気持ちなのに脳感覚が刺激される。日常生活も目のつけどころを変えるだけで、こんなにもユーモアが溢れているのかと感心するばかりだ。

そこで今回は、私もこの感覚を引き継ぎ、読者と一緒に新たな「ふるいの紹介」を試みたいと思う。ここから先はHONZ(新刊オススメ紹介サイト)を5回以上閲覧した人限定にしたいと思う。良書を紹介中に、読んじゃダメなんて、そんな馬鹿な、と怒り心頭である事は十分に承知している。しかしお互いのミスマッチを防ぐため、ここはやむを得ない判断だと認めてほしい。では、条件に満たない方、申し訳ないが、ここで失礼します。

 新井文月の実験01

HONZは多様なジャンルの本に注目している。フラクタル図形、ダチョウ、力道山、夫婦ゲンカまで多岐に渡る分野を網羅している。そんなサイトなのに、5回以上訪問しているアナタは充分変わりものだ。だが、本書が適合するかどうかさらに確かめるため、次の課題を設けさせていただく。

この先を読むことができる資格として、昨日、肉を食べた人限定とする。鳥、豚、牛、肉であれば問題はない。ベジタリアンの方や、ダイエット中なのか穀物と野菜中心の食事だった方、残念ながらさようなら。これからも健康と、最近再び注目されている腸を大事に過ごしてほしい。

さて、ここまで残った方は読書家である上に、さらには体力的に自信があるのではないか。人類は10万年以上も肉食だった。先祖達はマンモスを狩り、遺伝子を残してきたように、今の時代も肝心な体力がないと乗り越えてはいけない。

そして最後の条件に移る。その条件は厳しく、今まさに「移動中」だという事だ。電車、タクシー、バス、散歩中もOKとする。「あ、私の事だ」とお思いの方。移動中にもかかわらず、スマフォ等でここまで閲覧するなんて、本当に稀有な人だ。アナタは煽動的な情報ばかり流しているTVや雑誌のニュースなどに辟易してHONZサイトを見ているのではないか?

そんなアナタにこそ、本書を手にとってほしい。世の中は科学でも証明しきれない、不明な事だらけだ。この紹介方法だって正しいかどうかわからない。ただ正解に対し、その周りをぐるぐるまわりながら、中心へと近づいていく過程自体が面白いのである。

その過程に遊び心満載の本書だからこそ、私も刺激されてしまい、今回こういった「ふるいの実験」形式で進めてしまった。ちなみに私も条件にあてはまる一人だ。ここまで読んでいただき、心より感謝申し上げる。これも日常の一コマを、幸せな発想法で愉快にする挑戦として捉えて頂ければ幸いだ。

新井文月の実験02

そして今回この表象となった事に対し、途中から素直に読まなかった方を含め、心からお詫びしたいのだが、もう読んでないだろうと思うので、どうすればよいのか。

—–【その他オススメ】——-

佐藤氏が以前出した『プチ哲学』。ここから思考の旅は続いていた。イラスト中心のシンプルな内容だが、普段目にしている事象を切れ味鋭く表現しており、まるで頭が良くなった気分になる。

プチ哲学 (中公文庫)

プチ哲学 (中公文庫)

  • 作者: 佐藤 雅彦
  • 出版社: 中央公論新社 (2004/03)
  • 発売日: 2004/03

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