新井文月

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。新井の作品は「すべてはつながっている」ことを表す。滝行や法螺貝を吹くことで宇宙の意思を反映させた「銀河文字」シリーズを制作。2014年、ニューヨークにて初個展を開催。躍動感のある筆使いには、ダンスに傾倒した流線が投影される。また宇宙や銀河といったテーマが、黒の中に光を投入せしめる。2015年にはイスラムと日本の親和性についての作品を発表しArab Week 2015 Art Exhibitionに出展。主催国のオマーン/パレスチナ大使から日本アラブ友好感謝賞を授与。2023年、世界96カ国から選出される101人の現代アーティストに選ばれるなど、古今東西の文化に絶えずエッジの効いた眼差しを向け続けている。

個展
2023 “すべてはつながっている展” Night Out Gallery(東京)
2022 “銀河文字展2022” 銀座第7ビルギャラリー(東京)
2021 “銀河文字展2021”Hama House(東京)
2019 “すべてはわたし展”Hama House(東京)
2016 “新井文月展”珈琲達磨堂(東京)
2014 “Flower Project”在ニューヨーク日本国総領事館(ニューヨーク)
2014 “Flower Project”d-labo東京ミッドタウン(東京)

グループ展
2022 “Abstract Art“ Collect art (トビリシ)
2022 “WONDERS“ The Holy Art gallery (ロンドン)
2022 “アジアデジタルアートアワード大賞展” 福岡市美術館(福岡)
2021 “美食と芸術の町小布施”北斎館(長野)
2020 “Independent Tokyo 2020”東京ポートシティ竹芝(東京)
2019 “新井文月・山口芳水 2人展”銀座ホワイトストーンギャラリー(東京)
2018 “MONROE ART Exhibition”中目黒ラウンジ(東京)
2015 “Arab Week 2015 Art Exhibition”オマーン・スルタン大使館(東京)
2013 “フラワープロジェクト”いわき市仮設住宅(福島)
2012 “フラワープロジェクト”石巻市須江糠塚前団地仮設住宅(宮城)
2011 “フラワープロジェクト”大槌町仮設住宅(岩手)
2001 “7 views on Tokyo words”About Cafe(タイ・バンコク)

参考文献
“広がる意識は光へ向かう”『芸術新潮12月号』, 2023年12月
“ONBEAT 特集”『ONBEAT vol.18』, 2023年5月
“Abstract Art Artists” Collect art Magazine, 2022年11月
“デジタル×日本の融合で描く「流れる宝石箱」” 美術手帖, 2020年12月
“世界で戦う芸術家” D-laboマガジン, 2014年8月
“Tokyo Artists” Art4D タイ/アート雑誌, 2001年9月

レクチャー&プレゼンテーション
“芸術支援ニューヨーク展 報告会」D-labo東京ミッドタウン, 2014年9月
“ダンスと経済開発”, Akha Christians教会, タイ, 2007年

受賞歴
2021 光の富士 – 2021アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA
2021 銀河の鳳凰 – 2021アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA
2021 猫とつながる – ゲイツアートコンペティション
2021 自信にあふれる – ゲイツアートコンペティション
2021 火のワーク – Shibuya Art Award 2021
2015 Arab Week 2015 Art Exhibition アラブ日本芸術感謝賞
2012 トランス・コスモス株式会社主催クリエイティブコンテスト最優秀賞
2003 エイベックス主催ダンスコンテスト「D-1」 全国3位

学歴
2002 多摩美術大学情報デザイン学科卒業

ボランティア
フラワープロジェクト

 

– 繁體中文 –

新井文月

多摩美术大学信息设计学科毕业。

新井的作品表现了“万物息息相关”的概念。他创作了以瀑布修行和吹响法螺贝来反映宇宙意志的“银河文字”系列作品。

2014年,在纽约举办了首次个展。他用极具活力且有跳跃感的笔触完美的描绘出舞者的跃动身姿的流线感。另外在宇宙空间和银河星系等作品中,也利用光与影的强烈对比,在黑暗中投射出一缕耀眼的光芒,从而表达他的世界观。2015年创作有关伊斯兰和日本友好主题的作品,并在“阿拉伯周2015艺术展”上展出。最终获得了东道国阿曼和巴勒斯坦大使颁发的日阿友谊奖。
2023年,他作为全球96个国家的101位当代艺术家之一被选出,并且他将持续以锐利的目光投向古今东西的文化交汇之处。

出展經歷
2022 聯合展 “Asia Digital Art Award” 福岡市美術館(福岡)
2021 個人展 “銀河文字展2021”Hama House(東京)
2021 聯合展 “美食藝術村與小佈施” 北齋館(長野)
2020 聯合展 “Independent Tokyo 2020” 東京竹芝港都城(東京)
2019 個人展 “全都是我展” Hama House(東京)
2018 聯合展 “MONROE ART Exhibition” 中目黑LOUNGE (東京)
2017 於KOBO Seattle開始作品販售(西雅圖)
2016 個人展 “新井文月展” 咖啡達摩堂(東京)
2015 聯合展 “阿拉伯週2015藝術展” 東道國阿曼/巴勒斯坦大使館(東京)
2014 個人展 “Flower Project” d-labo東京中城(東京)
2014 個人展 “Flower Project” 日本駐紐約總領事館(紐約)
2013 “Flower Project” 磐城市臨時住宅(福島)
2013 慈善跑 in 國際節 官方設計
2012 “Flower Project” 石卷市糠塚前團地臨時住宅(宮城)
2012 NHK教育頻道「 Musica Piccolyno」演出
2011 「Achilles 瞬足」運動鞋廣告 動作指導
2011 “Flower Project” 大槌町臨時住宅(岩手)
2011 “Flower Project” 東麻布東大道鐵門(東京)
2010 「scalp D 」洗髮精廣告 動作指導與演出
2007 阿卡族交流・舞蹈工作坊(泰國・清萊)
2005 東京海洋迪士尼舞蹈表演主演 (千葉)
2005 藝術表演活動「FUGA」主辦(東京)
2001 聯合展“7 views on Tokyo words” About Cafe (泰國・曼谷)

参考文献
“意识的延伸,走向光芒” — 《芸術新潮12月号》,2023年12月
“ONBEAT 特辑” — 《ONBEAT vol.18》,2023年5月
“抽象艺术家” — 《收藏艺术杂志》,2022年11月
“以数字化形式与日本的融合绘制‘流动的宝石盒’” — 《美术手帖》,2020年12月
“在世界舞台上奋斗的艺术家” — 《D-labo杂志》,2014年8月
“东京艺术家” — 《Art4D 泰国/艺术杂志》,2001年9月

得獎經歷
2021《光‧富士》Asia Digital Art Award FUKUOKA
2021《銀河鳳》 Asia Digital Art Award FUKUOKA
2021《與貓相連》 Gates Art Competition
2021《充滿自信》 Gates Art Competition
2021《火焰的流動》Shibuya Art Award 2021
2015 阿拉伯週2015藝術展 阿拉伯與日本之藝術感謝獎
2012 大宇宙集團主辦 2012年度創作比賽最優秀獎
2003 愛貝克思集團主辦舞蹈大賽「D-1」全日本第三名

學歷
2002 多摩美術大學情報設計系畢業

志工服務
“Flower Project”

書評
週刊朝日・信濃每日新聞・HONZ・Yahoo!新聞・現代business・JBPress・Newswitch by 日刊工業新聞社 等

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細胞内銀河へようこそ
Welcome to the intracellular galaxy


吉森 保(生命科学者)
Tamotsu Yoshimori (life scientist)

 

新井の絵はどれも素晴らしい。彼が描く「銀河文字」は、私達と宇宙をダイレクトに接続し、私には細胞の中の広がりを想起させる。私達生命科学者にとって、小さすぎて目に見えない10マイクロメートル(100分の1ミリメートル)の細胞の内部は宇宙だ。これは比喩ではなく、そこには膨大な数の極小の分子群が織りなす複雑にして精緻なシステム=社会が存在しているのだ。

新井は意識をわたし→家→地域→日本→宇宙→銀河→霊界→天界→カミ(火・水)の世界、天(源・創造主など名称は世界で異なる)と広げるが、私達の研究もまた意識を内にむけることで、わたし→臓器・組織→細胞→オルガネラ(細胞内の器官)→超分子複合体→高分子などの存在が見えてくる。

この2つをかけあわせると、この宇宙はどこまでもつながっているとともに、人間の身体というのは、なんて丁度いいサイズなのだろう、と感心する。

アートと科学は、一見相反する営みのようにみえるが、実のところ同じものだ。両者は共に、人間の根源的本能である、この宇宙/世界を知りたい、表層の下にある見えない全てを理解したい、すなわち不可知を可知に、不可視を可視にしたいという知的欲求から発生した。

新井の銀河文字の記号、あるいはイメージを観ると、思わず手を合わせたり、涙するものが現れると言う。なんの説明も無いにもかかわらず、国内外からSNSを通じて多くの人が展示会に訪れてくる。こうしたマーケティングとは無縁の癒しがおこるのは、新井がこの宇宙に存在はするが不可知・不可視の「何か」を現前させるからであろう。

メンデルは18世紀に不可視の遺伝子の存在を予測し(今では実在が確認されている)、アインシュタインの相対性理論が予言したブラックホールを、人類は百年後に実際に目撃した。科学もまた「銀河文字」を現出させる手段である。

私の専門であるオートファジーは、細胞の内部の物質分解装置である。細胞は日々オートファジーによって少しずつ分解されており、分解された部分はすぐに別の装置によって合成される。すなわち、見た目は変わらないが細胞は部分的な死と再生を繰り返し、数十日で完全に新しい細胞になっている。

この営みによって細胞は正常な状態(恒常性)を維持し、37兆個の細胞からなる人間も健康でいられる。オートファジーが低下し、部品の入れ替えが止まると細胞はたちまち劣化し、人間は病気や老化に見舞われる。破壊神シバのような存在であるオートファジーが、我々を生かしているのだ。

新井の画業は、枠にはまって陳腐化している我々の世界認識を一旦壊し、見えていなかったものを見せ、精神を新たな地平に昇華するという点でオートファジーによる細胞新生に似ている。

生命は、恒常性を維持すると同時に環境に適合するために実に柔軟に変化/進化する。目もくらむような生物の多様性は、まさに自然の驚異だ。私は、新井作品にも同様のダイナミクスを感じる。光と闇が同時に描かれ、二律背反によって視るものの内部で成長拡大を続ける。閉じておらず完結もせず、振動し生命と同じくトランジエント(一過的)で動的であることが、観察者に宇宙を見せ、魂をゆさぶる。

新井の絵が生まれる過程自体も、科学の方法論と相似している。常識に囚われない自由な議論、忌憚のない意見交換で新たなアイデアが産まれ、科学は進む。新井は、直感でイメージを降ろすために、ふだんは極力自分のエゴを無くすようにしているそうだ。そのために各地の自然の中で滝行し法螺貝を吹くという、近年の新井はあたかも山伏における修行僧のようである。

新井は、世界各地に足を運び、そのエッセンスを吸収し、和紙、デジタル、アクリル、金箔など各作品に適した素材を使用する。あたかも生命科学者が、酵母からヒトの細胞に至るまで様々な生物種を研究対象とし、MRIや電子顕微鏡などの種々の技術を駆使するように。

銀河文字がなぜ視るものの精神を揺さぶるのか、現在の科学では解明できない。ユングのシンクロニシティ〜意味のある偶然の一致〜を説明できないように。しかし、誤解されがちなことだが、科学者は科学で説明できないことを否定しているわけではない。

否定も肯定もせず、今は説明できないと言うだけだ。だが、常識的思考では思いつく由も無い遺伝子やブラックホールも、テクノロジーの進化により我々はそれらが本当に存在することを目の当たりにできた。現在の還元論的な科学の超克が必要かもしれないが、いつの日か銀河文字の原理を我々は知ることができるに違いない。

吉森 保プロフィール

生命科学者。専門は細胞生物学。大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科教授。紫綬褒章他受賞多数。ノーベル賞受賞の大隅良典博士と共にオートファジーの解明を進めた。著書に『LIFE SCIENCE 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(日経BP)、『生命を守るしくみ オートファジー』(講談社)など。

 

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