『お金が教えてくれること ~マイクロ起業で自由に生きる~』

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 たとえば、干上がってしまった池があるとして、その乾いた池の底には、わずかな水しか溜まってないとする。一見、乾ききって水が失われたように思えても、わずかな水の穴の底には、もしかすると地下水脈とつながっているかもしれない。


これは本書を読み終えた後のイメージだ。会社員として働き、日常生活でこんなものか、と現実的かつ半ば落としどころを探しながら働いている人、もしくは、これから1%でも起業を考えている人に薦めたいのが本書である。

冒頭では「今、僕はお金がありません」といきなりユニークな出だしから始まる。だが著者は22歳にpaperboy&co.を創業し、ロリポップなど格安サーバービジネスを立ち上げ、最年少でジャスダック上場を果たした話題の人だ。金がない?そんなはずがない、と読み進めると、会社を売却した所得の十数億円は2年間で使い果たしたそうで、どうやら本当にお金がないそうなのだ。

それでも本書は、会社員でいるリスクを提示し、お金の稼ぎ方と使い方について語っている。読んでいて心地がよいのは、ビジネス書に珍しく自己顕示欲が感じられない。本人は相当な貧乏時代を過ごしたらしく、白アリで壁に穴があき、寒くて5人の家族が同じ部屋で寝るような幼少期を過ごしているため、簡単に「世の中金じゃないよ」というムードへの反論に説得力があり、稼ぐことに対する言葉は重みがある。

大切なのは、自分が納得いく必要なコストを把握することだという。言い換えれば最低限これだけ稼げば幸せだ、というラインだ。本人は「江戸時代の職人的に稼ぐべし」と言っているが、例えば月30万に設定するなら、すべてを給料からではなく、5万円稼げる内職を6本持つようにと、コンパクトな規模で同時展開することを推奨している。とにかくみんな起業しろ、と言っているのではなく、できる所からミニマムにはじめて稼ぎ、リズムをつけるそうなのだ。

著者からすれば、会社はとりあえず起業してみて、進んでいる間で仕組みを考えればよいという気楽さだ。考え抜く印象は全く無く、直観とスピードを重視して抵抗なく事業をスタートさせてしまう。

ビジネス書といえば、行動力に直結するような、エネルギーがふつふつと沸いてくるような本を想像するが、あまりにも気軽にビジネスに挑戦してみよう、という調子なので、それならば力を抜いてトライしてみようかという気になる。その意味で非常にコストパフォーマンスが高い一冊だ。

ちなみに本書では、起業セミナーには行くなと述べている。「15000円するセミナーに足を運ぶのであれば、1500円の本を10冊読めばよい」と断言している所も魅力的だ。


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