『図解!! 生き残るためのやりかた大百科』台風対策にも

投稿者: Atelier Arai Fuzuki 投稿日:

今未曾有の台風が上陸している。本書はそのための予防にもなる一冊だ。前書は2011年に発売された『図解!! やりかた大百科』。この本はさまざまな「やりかた」をイラスト付きで紹介していたが、今回紹介するスピンオフ版は、生き残る事に特化した『図解!! 生き残るためのやりかた大百科』である。前回は役に立つのか立たないのか解らない内容であったが、今回は良い意味でその期待は裏切ることになる。それが災害時に知っておいて損は無い豆知識が無数に掲載されている。イラスト付きなので、パラパラ見ても理解が早く丁度よい。

著者のJoseph Predはアメリカのリスクマネジメントのコンサルタント。防災管理者として身近なところでは鼻血の止め方などのトラブルから、雪崩や台風や津波など自然災害までの対処法を企業に提供してきた。その結果、本書では成人への心肺蘇生法や、石油流出事故後の清掃活動など大規模な野外活動なども知る事ができる。

著者は語る。「私達の平和な生活に突然降ってくる災難をすべて予測する事は不可能でも、起こりうる事態を前もって確認し計画を立てておくことなら、それほど手間はかからない。予測できない事態でもフレキシブルに対応できる基礎があれば、いざというときに慌てなくてすむだろう。その力を最大限に発揮するのは、つねに視野と気持ちを広く持ち、なんとしても打開していこうと思う気持ちが大切だ。」

万が一のケースとして、銃撃犯から銃を奪う方法や、コヨーテにかこまれた時に子どもを守る方法など「やむなく愛する動物達への撃退方法」も収録してある。そんな「やりかた」が必要になる日が来ないことを願いつつも、心がまえだけはできる。準備はやってやりすぎることはない、と著者は熱く語る。

天災時の対処方法も多数記載されている。津波、雷、台風、いま日本では未曾有の天災が襲ってきている。これを読めばたとえ突然の災害にも、テキパキ動けるようになるとはいわないまでも、パニックにならない程の安心感を手に入れるようになる。もちろん、それ以外の内容もあるので紹介しよう。

◎災害時にペットの安全を確保するには
とても重要だ!愛するペットを家にどうしても置いて避難しなくてはいけない時の手順が描かれている。まずペット同士を放す、そして食料と水をたっぷり用意して家の中に入れ、ドアに救助隊に向けたメッセージ(家の中に猫が二匹います、など)を残す。御丁寧に災害でびっくりして木から降りれなくなった猫の救い方まで描かれている。

◎銃のお手入れ法
銃の扱い方なら納得いくが、手入れということは常に所持した状態だ。原書はアメリカなのでこれはちょっと使わないだろうと思いながらも、簡単な分解方法が掲載されているので、単純に眺めての面白さは侮れない。

◎スムーズに海外旅行をするには
自国の大使館に登録する。服装は地味に。腹巻式財布を身につける。携帯の着信音はサイレントモード。評判のよいタクシーのみを使う。これ全部守ると非常につまらなそうだ。

◎切断された足の指を保管するには
あまり想像したくないが、万が一ということもある。まず切断された指を拾う、と当たり前の事が書かれてあるが自分にはそれが一番ハードルが高いかもしれない。次に傷口を水洗いし、残った皮で傷口を多い、バタフライ型のばんそうこうとガーゼで覆うそうだ。考えるだけでお尻がムズムズする。イラストでは薪割りをしている時に誤って足の小指を切断してしまった例が描かれている。なんとなくありそうな事故かもしれないので、キャンプで薪割りをする人は気をつけよう。

◎クラゲに刺されたときの手当法
普通に必要な知識かもしれない。海水ですすぐ→触手をこすりとる→鎮痛剤をのむ→温水につかるが正解。ちなみにおしっこをかければ治る話は迷信で、傷を悪化させるおそれがあるのでやめておこう。

◎コヨーテから子どもを守るには
求めていたシュルレアリスムがここに。まず強そうに両手を振りかざし脅す、尾をひっぱり子どもを放させる、肋骨を蹴り、最後は高い木の上に避難。ちなみに私の妻は昔大型犬二匹に襲われそうになった時、熊が立ち上がったポーズで絶叫し追い払ったとの事。どうやら効果は本当らしい。

以前ならこれらは試す機会が全然無かった。今回の台風のように大災害に遭うというのはもはや現実問題であり、その間自力で生き延びなければいけない。読書で楽しみつつ、災害の為の準備本にもなる。視覚優位な人にもオススメだ。イラストは年々進化しているが、掲載されているのはオールカラーかつシンプルな今風テイスト。大人から子供でも読める中身だ。また医療面からみても最低限応急処置に必要な知識を誰にでも解るように記述してある。

準備について著者は説く。あらゆる緊急事態に徹底できる秘訣は、今すぐに準備を始めることだ。山でピューマにいつ出くわすのかは誰にもわからない。まだ準備していないのであれば、身分証明、食料、薬など個人的な日用品や、懐中電灯、ナイフなど道具、さらにラジオ、緊急連絡先リストを入れた非常持ち出し袋(2日間分の物資をそろえたキット)を用意しよう。

それでも災害/緊急時になった場合、ポジティブな心理状態でリラックスする事だ。ネガティブではパニックを起こしたり、溺れた人を助けられる場合でも救助を諦めてしまいがちだ。常日頃から問題の解決方法を意識すれば、迅速に対応し海にとびこむこともできるだろう。本書を読めば、自分自身や友達、恋人の面倒をみれるくらいになっているかもしれない。備えあれば憂いなし。

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図解!! やりかた大百科 -役にたつ(かもしれない)438の豆知識。-

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  • 作者: デレク・ファーガストローム、ローレン・スミス、ショー・ミー・チーム、和田 侑子
  • 出版社: パイインターナショナル
  • 発売日: 2011/9/15

2011年に発売『図解!! やりかた大百科』ここからツボにはまっていった。・電話帳を2つに裂くには ・ゾウに乗る方法 など400以上のやりかたが掲載。

 

新 冒険手帳―災害時にも役立つ!生き残り、生きのびるための知識と技術

新 冒険手帳―災害時にも役立つ!生き残り、生きのびるための知識と技術

  • 作者: かざま りんぺい、佐原 輝夫
  • 出版社: 主婦と生活社 (2006/03)
  • 発売日: 2006/03

アウトドアの基本である火の起こし方や、水の確保、食べられる植物の見分け方など実践的。いまや震災に対する本として生まれ変わった。非常セットはぜひ準備してほしい。

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