上海紀行 その2 ~中国のアート事情~

投稿者: Atelier Arai Fuzuki 投稿日:

2013.7.12

クリエイティブスポット 田子坊

新天地(シンテンチ)でプーアル茶を買った後、午後は田子坊(ティエンズファンに移動しました。※たごぼう、と読まない

もともと町工場がメインだったこの場所に、中国の著名なアーティスト陳逸飛(リンツ―イン)がアトリエを開いたことでクリエイティブスポットとして有名になりました。陳逸飛は映画界・ファッション界でも注目を集め芸術工房はこぞってこの地に集積し、今ではニューヨークのソーホーさながらのオシャレスポットになりました。ただの倉庫空間もアートが加わりはじめると、付加価値がついてくる例ですね。ちなみに陳逸飛油絵は10億で落札されています。

 

 

田子坊は、ギャラリー以外にもカフェや雑貨屋が多く、シエスタする西洋人がよく見られます。しかし、気づけばギャラリー、ここにもギャラリー。カフェと同じかそれ以上にアートギャラリーが存在します。ギャラリーが扱う作品は、ペインティングはもちろん、陶芸や写真などさまざまで、値段は東京とあまり変わらない印象でず。ただ扱うラインナップが膨大で、常に人が出入りしています。中国人のギャラリストからは、西洋人に英語を交えて売ろうとするバイタリティを感じます。ここには中国でも有名な写真家 陳瑞元(Chen Rui Yuan)ギャラリーもあり、実際にみると私も欲しくなってきます。

(c)Chen Rui Yuan

 

ちなみに上海の福州路には、とにかく安い画材屋があり油絵具は日本の5分の1の値段です。アーティストが買付にくる場合も多く、旅行者であれば、趣味ではじめる水彩絵具セットなどは喜ばれるでしょう !

 

M50(莫干山路50号) 巨大ギャラリー集合体

日本語のガイドに載ってませんが、アートマーケットでは絶対にはずせない場所があります。M50という巨大ギャラリー集合空間です。面積は約41000㎡の巨大アートゾーンです。

例えばアジア各国のアーティストを擁するギャラリーX-powerでは、台湾の女子3人組アーティスト瑪馨玲の作品を扱っています。ちょうど聞きたかったので、上海アートシーンについて女性ギャラリストに色々訪ねてみました。

瑪馨玲Ma Sing Ling

 

値段を聞くと、彼女達の絵は100x100cmで150万。

「なぜなら、彼女達の絵を買いたい人がたくさんいるからです!彼女達は容姿も美しく、絵画も美しい。出身の地元台湾では大人気、新進気鋭のアーティストなんです!!」

 

とにかく活気があります。日本にいると、モノに対して、この値段が適切なのか?とすぐ考えて、より安いものを買おうとするデフレマインドになっていますが、上海は「いいものは高くても買う」勢いを強く感じるのでした。実際、作品からはエナジーというかクオリティにも圧力を感じるし、ここのギャラリーだけでなく、M50を訪れる人達、さらには中国全体がお金を出してでもアートを買いたい!というマインドが伝わってきます。

 

Form of Unity/Land of Ease‧Clouds Dance Wonder and Bring in Fortune

2012
103 X 103cm

Acrylic on Canvas

 

作家とギャラリーの契約について

驚いたのは日本にくらべて、作家が優遇されている点です。実際の話、ギャラリーが作家に目をつけると「あなたの作品は素晴らしい。30年間の独占契約はいかがでしょう。契約金は6億用意します」とオファーするそうです。

その内訳には、アトリエ・住居・生活費・製作費用などが含まれます。

 

30年は長いかもしれませんが、契約すれば作家は純粋に自身の製作に打ち込めるのです。アーティストにとって、純粋に製作と向き合える環境は幸せなはずです。この環境が成り立つには、作家のプロデュース・ギャラリーの運用・クライアント/コレクターへのマーケティングもありますが、何よりも反デフレマインド。良いものを認め買おうとするポジティブな購入意欲ではないかと肌で感じました。

カテゴリー: ART WORK

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