靴屋のシャッターに裸のビーナス アートボランティア

アート&ペイントが好きな人達でシャッターを彩るボランティアをした。

友人経由から「靴屋のシャッターに何でもいいから絵を描いてみないか」と言われ、何でもいいなら是非やりたいです、とすぐに返事をした。場所は都営大江戸線の赤羽橋駅にあるのだが、ここは東京タワーを近くに見る事ができ、その靴屋は駅からすぐの東麻布商店街にある。のどかな雰囲気を持つ趣ある場所だ。

靴屋の外観はこんな感じだが、先にも述べたように商店街は昭和の雰囲気で、かなーりゆったりと時間が流れている。シャッターには20年程前に誰かが描いた抽象的な絵が描かれていた。

店主の夫婦が言うには、シャッターが色あせてきたので新しくしたいそうで、欲をいえば靴屋として認識できて、今どき感を出してほしいとの事だった。確かに。

シャッターに絵を入れるという、その発想自体が好きなので、私は心意気に答えたいと思った。

70年代の商店街の話をしつつ、私は新しいデザインをその場でラフを描いてみせた。そのうち、一番のお気に入りは「裸のビーナス」である。だが、見せた途端に夫婦は驚き「派手すぎる」とか「裸はちょっと」と言われ、すぐに却下された。


まさかの却下。

一方、靴屋の前にいつも椅子に座り、日なたぼっこしているお店のおばあちゃんがいた。
彼女は、古い絵のほうを気にいっているようで、私が描きなおそうとするのに気づくと、「なんだい、何しにきたんだい?」と警戒ぎみに声をかけてきた。最初からリニューアルに積極的でない様子だ。

正直困った。デザイン案は通らないわ、お店の人達の応援も無い。
さらには期日だ。毎年10月1日に商店街で開催される「かかし祭り」に間にあわせたいそうなのだ。アイデアのボツを出された時点であと1ヶ月も猶予がない。恐ろしいクライアントだ。(注:ボランティアです)

どうしても誰でも思いつきそうなデザインが嫌だったので、意を決して再度夫婦に提案した。
「私は商店街全体の事を考えています。若者はみんなビーナスを気にいってるし、商店街に活気が戻りますよ」と、我ながら説得力の無い気合いだけはあるビーナス案を押した。
※ご婦人のセンスも讃えている

検討しますと言われた5分後。。

快諾。ヨシャー!

決まったら話は早いので、早速制作にとりかかった。ボランティアで集まってくれた方々のお手伝いもあり、作業はサクサク進行した。本当ありがとうございます。例のおばあさんはペンキで下地を塗る際も、横から不安そうに見ていた。「この色は長く持つからねぇ」と元の絵をさして言った。どうみても古ぼけて、みすぼらしくなってるので、20年前の記憶で見ているなと思った。

それでも期待に答える事ができるかな、という不安はあった。
その時である。バケツに足そうとした水道の蛇口が勢いよく噴射した!

シャアアアアア!!

おばあちゃんに直撃!!ずぶ濡れだ!

だがその状況で彼女は名言を吐いた。

「アタシまでキレイにしてくれるのかい?」

ワーハッハッハ!!

なぜかその一言で、私は心が軽くなった。制作はどんどん進行した。シャッターはお店が閉まらないと作業ができないので、閉店後の夜に一気に進めた。

そして完成!!
制作は無事「かかし祭り」に間に合わせることができた。あとでお店の夫婦から聞いた話では、シャッターはお祭りのあと近所でにわかに話題となったそうだ。

そして完成後に再び現地にむかうと、例のおばあちゃんが椅子に座っていた。
彼女はシャッターを近所の人に見せ、「エロい絵ができたんだよ」とほほ笑みながら説明していた。

                    2011.10.20

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【靴屋のシャッターにビーナス】
497×276cm
ペンキ、アクリル、PS加工シート

場所:都営大江戸線 赤羽橋 中之橋口出口 徒歩3分
東京都港区東麻布1-17-16
FOOT WEAR SHOP 小泉靴店(いーすと通り) 03-3583-1572

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