『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』

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チョコレートには、原産地の風土と個性を活かしたフランス・ヴァローナ社の最高級ショコラ「グラン・クリュ・テロワール」を100%使用。それを引き立てるバターは、鮮度を重視した国産の最高品質「カルピス社の無塩バター」。マーガリンやショートニングなど、食品添加物の入った油脂は一切使用していない。
素材はチョコレート、無塩バター、卵、グラニュー糖のみ。
これが最高級のガトーショコラ職人であり、またケンズカフェ東京のオーナーである著者が公開しているレシピである。紆余曲折の末にたどり着いたレシピ、そして斬新な経営戦略を包み隠さず公開している潔さには感服するばかりだ。
デフレが長引く日本で、逆張りの発想で売上をひたすら伸ばすお店が、この「ケンズカフェ東京」である。片手に収まるくらいの小ぶりなガトーショコラが1つ3000円。おそらく日本一高いガトーショコラだろう。しかし商品は連日完売で、なんと売上1000万の月もあるそうだ。ケンズカフェ東京は、驚異のビジネスモデルでガトーショコラをスイーツのトップブランドに育て上げた。
そもそもケンズカフェ東京は、最初からガトーショコラをメインに販売していたわけではない。本来はスイーツ店ではなくイタリア料理店だった。だがイタリアンレストランの経営は不振。一時は赤字に陥り、借金苦を経験する。経営は順調ではなかった。 
"そもそも私はパティシエ(菓子職人)ではありません。もともとはイタリアン・レストランのシェフであり、パティシエとしてスイーツだけを作るなどということを嫌っていたくらいです"
当初はお客からのリクエストで、デザート用のガトーショコラをお持ち帰り用に包んで販売していたそうだ。しばらくするとその美味しさが口コミで評判が広がり、人気を博すことになる。ついに著者はレストラン業を辞め、デザートとして販売していたガトーショコラに運命を賭ける事にした。なるほど、と私もフムフム納得しながら読んでいたが、ここから快進撃が始まる。
当初は1本500gと現在の2倍の量で、価格も半額以下の1300円で販売していた。その後、容量を半分の250gにして1500円、2000円、最終的には3000円と値段を上げている。つまり当初より実質的には4倍以上の値上げをしたことになるが、それでも人気は衰えるどころか、うなぎ上りに上昇。3000円にしてから本格的にブレイクしはじめた。
”ブランドは目にみえないありがたみなのです。ただ、トップブランドにクオリティが低いものはありません。下手な話、“1円の原材料費で一万円”を喜んで買うお客さまいてくれたらそれでいいと思います"
売上に余裕があるとパッケージにも金額をかけられる。著者はブランドのパッケージも研究し、食べる前から「これはかなり本格的な佇まいだ。きっと美味しいに違いない」と印象づけることにしている。
また、いつでも最高の味にするため、味を常に変化させる準備も整えている。ツイッターやFBで、お客の反応を見ているとのことだが、本書内で使用するバターはそろそろ変更するタイミングかもしれない書かれてあった。参考までにWebでレシピを確認した所、カルピスバターになっていた。執筆から本書発売までの間、敏感に察知し変更したのではないだろうか。
繰り返すが、お店の商品はガトーショコラ1つだけだ。一本を商品に絞ることで、コストが押さえられるだけでなく、味の品質向
上に力を注げるというのが最大のメリットだそうだ。一商品の改良を続け、値上げに踏み切れたおかげで、購入層のレベルも変化してきた。今では、日本中からオーダーを受けており、地方の人もわざわざ足を運んでくる。売り上げはネットによる注文が70%。弱者が強者を凌駕する一点集中マーケティングは、第6章 スペシャリテ(看板商品)の磨き方に詳しいが、おそらく飲食店だけでなく、個人でビジネスを立ち上げる人にも役立つ。
ノウハウを包み隠さず全て明かしている本書の値段は、ガトーショコラに比べて格安の780円だ。
 


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