新井文月
古代的感性を現代芸術に融合させるマルチメディア・パフォーマンス・アーティスト。新井の作品は、仏教と神道を融合させた日本古来の修験道における法螺貝の音色から影響を受け、この古来の伝統と現代のデジタル技術を融合させて制作されている。
彼は子供の頃、足の病気で自由に歩くことができなかったが、絵を描くという過程を通して奇跡的に回復。この深遠な体験は、彼がこの世の真理を生涯追求するきっかけとなった。真理とは言い換えれば正しく生きることでもある。彼は滝行と瞑想の実践を通して、自分自身の存在と周囲の世界とのつながりを再確認。そうして生まれた作品は、鑑賞者にこの世界の中心にある深遠な真実について熟考するよう促している。
学歴
2002 多摩美術大学情報デザイン学科卒業
個展
2025 “甘楽の風・大地の波動” 長岡今朝吉記念ギャラリー(群馬)
2023 “すべてはつながっている展” Night Out Gallery(東京)
2022 “銀河文字展2022” 銀座第7ビルギャラリー(東京)
2021 “銀河文字展2021”Hama House(東京)
2019 “新井文月・山口芳水 2人展”銀座ホワイトストーンギャラリー(東京)
2019 “すべてはわたし展”Hama House(東京)
2016 “新井文月展”珈琲達磨堂(東京)
2014 “Flower Project”在ニューヨーク日本国総領事館(ニューヨーク)
2014 “Flower Project”d-labo東京ミッドタウン(東京)
グループ展
2025 “Abstract Mind“ CICA美術館(韓国)
2025 “余白のアートフェア“ 福島広野町(福島)
2024 “ペルービエンナーレ“ ペルー航空美術館(リマ)
2023 “Order & Chaos” Art Collide(ウィルミントン)
2022 “Abstract Art“ Collect art (トビリシ)
2022 “WONDERS“ The Holy Art gallery (ロンドン)
2022 “アジアデジタルアートアワード大賞展” 福岡市美術館(福岡)
2021 “ 葛飾北斎と次世代アーティスト ”北斎館(長野)
2020 “Independent Tokyo 2020”東京ポートシティ竹芝(東京)
2018 “MONROE ART Exhibition”中目黒ラウンジ(東京)
2015 “Arab Week 2015 Art Exhibition”オマーン・スルタン大使館(東京)
2013 “フラワープロジェクト”いわき市仮設住宅(福島)
2012 “フラワープロジェクト”石巻市須江糠塚前団地仮設住宅(宮城)
2011 “フラワープロジェクト”大槌町仮設住宅(岩手)
2001 “7 views on Tokyo words”About Cafe(タイ・バンコク)
参考文献
“色を楽しむ”『ウクライナ アートワークギャラリーマガジン 第7号』, 2024年6月
“広がる意識は光へ向かう”『芸術新潮12月号』, 2023年12月
“ONBEAT 特集”『ONBEAT vol.18』, 2023年5月
“Abstract Art Artists” Collect art Magazine, 2022年11月
“デジタル×日本の融合で描く「流れる宝石箱」” 美術手帖, 2020年12月
“世界で戦う芸術家” D-laboマガジン, 2014年8月
“Tokyo Artists” Art4D タイ/アート雑誌, 2001年9月
レクチャー&プレゼンテーション
“芸術支援ニューヨーク展 報告会」D-labo東京ミッドタウン, 2014年9月
“ダンスと経済開発”, Akha Christians教会, タイ, 2007年
受賞歴
2024 ユネスコ学際憲章30周年記念賞受賞
2015 Arab Week 2015 Art Exhibition アラブ日本芸術感謝賞
ボランティア
フラワープロジェクト
「山声に耳澄まし、風兆を読み、鳥歌に神意を感ず」
陳紗由里 芸術・文化研究者
新井文月(あらいふづき)は群馬県に生まれ育ち、幼少より故郷の山川に囲まれて自然と深く交わる感性を育んだ。
「山の声を聴き、風の息を読み、鳥の歌に意を感じ取る——理屈をこねるよりも、身体をひらき、自然の音と気配を受け入れることが肝要である。」このような心法こそ、日本の山岳修行の伝統である修験道の本質であり、知的理解よりも体験的・感覚的変容を重んじる道である。新井はこのような厳しい修行を通じ、身体と精神の直接的体験に根ざした稀有な芸術の道を築いてきた。
その象徴的な行として法螺貝(ほらがい)の吹奏がある。山河に響きわたるその音は、古来より修験者、山伏(やまぶし)にとって天地を結ぶ媒介であり、自然の大いなる力と交感するための手段であったが、新井はこの伝統を受け継ぎつつ、現代芸術の領域へと昇華させている。
新井の芸術の核心にあるのは、単なる美の追求ではなく、「自己と自然」「内界と外界」「人間と宇宙」の関係をめぐる深い省察である。 彼の代表作のひとつ《Galaxy of Hope(希望の銀河)》は、和紙とアクリル、墨、そしてデジタル技術の精緻さが、日本の伝統工芸と響き合いながら融けあう、比類なき創造である。抽象的な星雲や光の瞬きを思わせるその画面は、宇宙空間における生成と呼吸のリズムを描き出し、人の呼吸と銀河の循環を交錯させている。そこには、法螺の音が内奥でいまも響いているかのような、「波動の記憶」が静かに息づいている。
新井にとって、銀河とは内なる精神世界の延長であり、これを「銀河文字(コスモグリフ/Cosmoglyph)」と命名している。星々の誕生と瞬きは、人間意識の深層に潜む生命のリズムと共鳴しているのである。彼の作品はこのように、地と宇宙、微細と無限を連ねる連続的な場としての新たな宇宙像を提示する。
新井の芸術は、自然からの啓示から生まれたイメージを通して、観る者の魂との深い共鳴を呼び覚ますことである。彼の実験的精神は、抽象と象徴のあいだを自在に行き来し、人と自然の世界がかつて共有していた交感の感覚を現代に甦らせる。画家は、修験道の古代的精神と宇宙観を基盤に、インスタレーション的手法、現代美術の文脈において独自の実践を築いている。
科学と人工知能がいかに共存し得る時代においては、新井文月はまた、人間の知性と創造性が果たすべき役割を問いかける。その作品は、伝統と現代、個と宇宙、内的体験と普遍的探究を結ぶ架け橋となり、芸術表現の新たな地平を開いている。

