タイトル:花と龍

制作年:2011

素材:ペンキ、接着液、アクリル保護スプレー、仮設住宅の壁

サイズ:70 × 2.8m

場所:宮城県石巻市糠塚前団地

Flower and Dragon

2011

70 × 2.8m

Housing Complex, Ishinomaki City, Miyagi Prefecture

Acrylic on Temporary Housing Wall, Adhesive, Acrylic Protective Spray

巨大ウォールアート フラワープロジェクト概要

東関東大震災より10年。お亡くなりになりました方々に、心より哀悼の意を表します。

フラワープロジェクトとは東日本大震災により建てられた仮設住宅を彩るアート活動です。震災後に多くみられた物資を送るボランティアと違い、仮設住宅の人・子供達と一緒に絵を描き希望ある空間を創造するのが特徴となります。2011年当時、建てられた仮設住宅の生活期間が延長されてしまう現状から、生活の無機質な空間を明るくする目的で結成されました。

東日本大震災では、岩手県大槌町の似顔絵ボランティアにはじまり、福島県いわき市仮設住民へのフェイスペインティングや、宮城県石巻市の仮設住宅の壁を彩る活動を続けてきました。

いまでも鮮明に記憶に残っているのは、最初見た時の殺風景な仮設住宅でした。実際に足を運ぶと、そこは無気力になりやすく、パートナーや家族を失った家族は鬱病や自殺を誘発しやすい環境でした。被災した直後は物資が必要ですが、その次は「心の治療」だと判断し、アトリエ新井文月は仮設住宅の人・子供達と一緒に絵を描く活動をスタートさせました。

やがてボランティア参加者は100名程にもなり、仮設住宅の壁70mに花札の中を泳ぐ龍の絵の絵が完成しました。8棟の壁をキャンバスに見立てた絵は、全体で長さ約70mという大作。主催の新井文月は住民の要望をまとめ、花札の中を泳ぐ龍のデザインとしました。カモメや波を連想するものは避けたいとあり、また1年を通じて花を見たいという声がありましたので、花札の図柄を採用。また1年を通じて花を見たいという声から、花札の図柄を採用しアヤメ、サクラ、ボタンなどを描きました。

当時の自治会長である小野孝雄氏は完成した絵を見て「龍の勢いのように早く復興して、自分たちも前に進みたい。ここからが出発点なので、壁画を見ることで前を向く力になればと思う」とコメントを残しました。実は会長こそが自分が癌に侵されていた身体でしたが、活動を続けている間は希望を見ておりました。完成した翌年に他界され、私はこの出来事を一生忘れません。

PROJECT

We volunteered to paint the walls of temporary houses in Miyagi prefecture (the place most damaged by 3.11 earthquake). The residents joined us as well and this project was recognized as an activity which unites the residents in the area and also helps them to shift the dark image of life in temporary houses into a fun & memorable one. I’m supporting the project from the beginning and it’s coming to the end in Sept. and it’s great to see smiles in this area… We’ll have one more visit to complete the picture!!

I showed my Flower project exhibition in Tokyo midtown gallery.

Flower Project is a volunteer group that supports areas affected by disaster through art. Many people in Japan lost their homes in the Great East Japan Earthquake of 2011. Mr. Arai began his support for survivors of the earthquake and tsunami by volunteering to paint portraits of people living in temporary housing. He has since gone on to lead a team of volunteers that offers support through artistic activities.

The survivors of the disaster who lost their photo albums in the tsunami deeply appreciate the chance to have their portraits drawn. In another project to empower the survivors through art, in 2012 Mr. Arai used the wall of a temporary housing complex as a canvas on which he painted a 70-m mural of a dragon together with volunteers and temporary housing residents.

The Flower Project exhibition details these volunteer activities through the artwork that has been created and features other works of art by Fuzuki Arai. We look forward to seeing everyone there.

Art volunteer activity [Flower Project Official web]

自治会長である小野孝雄は「龍の勢いのように早く復興して、自分たちも前に進みたい。ここからが出発点なので、壁画を見ることで前を向く力になればと思う」とコメントを残しています。また「芸術活動でありながら被災地の心の支援ができる」と地元TVやメディアに特集されました。 2014年の6月には在ニューヨーク日本国総領事館、同年9月には東京ミッドタウン、D-laboギャラリーにてフラワープロジェクト展を開催いたしました。

東京ミッドタウン展覧会の様子

Flower Project Official web フラワープロジェクト公式サイトはこちら

Wikipedia Flower Project フラワープロジェクト

メディア・記事 Media Newspaper

フラワープロジェクトが新聞メディア(石巻かほく新聞、石巻日日新聞)に掲載されました。

READY FORでのクラウドファウンディング

今回のウォールアートプロジェクトは、Readyforを通じて資金を調達しました。ご支援いただいた方への返礼として似顔絵も60枚描き、無事に全員への配送が完了いたしました。
似顔絵オーダーの中には、NYCでの思い出の部屋、元気な姿の時のペットの写真、特に多かったのが家族・子供の似顔絵でした。ご支援ご賛同いただいた方達、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

Crowdfunding on READYFOR

We successfully raised funds for this wall art project through Readyfor. As a token of our gratitude to our supporters, we also drew 60 portraits and have now completed delivery to everyone.

The portrait orders included requests for a memorable room in NYC, photos of pets in their prime, and most frequently, portraits of families and children. We are truly grateful for your support and cooperation. Thank you from the bottom of our hearts.

壁画制作における絵具の選定と下地処理、コーティングの重要性やチームワークについて

絵具

  • 絵具の種類:アクリル、シリコン、ラジカル制御型アクリル、シリコン、油性など。今回はペンキがメイン。

下地処理

  • 高圧洗浄機での洗浄、金属面の脱脂を必ず行う。
  • 壁の素材に合わせたシーラーやプライマーを選定する。
  • 密着性が低い場合はサンディングやミッチャクロンの使用を検討する。
  • 気温が高い場合は熱中症対策のため、水分が必要。
    気温が低い場合は塗料の乾燥が遅くなり、
    割れの原因となる。
  • 厚塗りすぎるとピンホールやヒビ割れの原因となるため、薄塗りを重ねることを推奨。

コーティング

  • 耐候性を高めるためにクリアーコーティングを推奨。
  • メーカー推奨のコーティング剤を使用する。

チームワーク

  • チームには上手い人や初心者など色々います。仕上がりよりも大事なのは、隣の人との声がけをしっかりするほうが、結果連携してうまくいきます。

まとめ

壁画制作においては絵具の選定、下地処理、コーティングは、仕上がりの美しさや耐久年数を左右する重要な要素です。これらの知識を参考に、チームワークで完成に向かいましょう。

The Importance of Paint Selection, Surface Preparation, and Coating in Mural Production, as well as Teamwork

Paint

Types of paint: Acrylic, silicone, radical control acrylic, silicone, oil-based, etc. This time, we mainly used paint.

Surface Preparation

  • Always clean with a high-pressure washer and degrease metal surfaces.
  • Select a sealer or primer that is suitable for the wall material.
  • If adhesion is poor, consider sanding or using a bonding agent like Micchaku Ron.
  • When the temperature is high, water is necessary to prevent heatstroke.
  • When the temperature is low, the paint dries slowly, which can cause cracking.
  • Applying too thick a coat can cause pinholes and cracks, so it is recommended to apply multiple thin coats.

Coating

  • To improve weather resistance, clear coating is recommended.
  • Use the coating agent recommended by the manufacturer.

Teamwork

Teams include skilled people and beginners. More important than the finish is good communication with the person next to you, which will result in better cooperation.

Summary

In mural production, paint selection, surface preparation, and coating are important factors that affect the beauty of the finish and the durability. Let’s use this knowledge as a reference and work as a team towards completion.


2件のコメント

ウクライナ支援を10万円以上された方に、 現代アート(絵画作品)を寄贈します | Contemporary Artist ARAI FUZUKI Official web site · 2022-03-11 12:17

[…] ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が、2022年2月24日から続いています。多くの民間人にも被害が出る中でアートで何ができるかを検討し、「芸術支援フラワープロジェクト」の一環として今回ウクライナへの支援を通じて日本円にして10万円以上の寄付をされた方に、絵画〈平和への道〉を寄贈させていただきます。 […]

ウクライナ支援を10万円以上された方に、 現代アート(絵画作品)を寄贈します | Contemporary Artist ARAI FUZUKI Official web 現代アーティスト新井文月オフィシャルサイト · 2022-03-11 12:24

[…] ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が、2022年2月24日から続いています。多くの民間人にも被害が出る中でアートで何ができるかを検討し、「芸術支援フラワープロジェクト」の一環として今回ウクライナへの支援を通じて日本円にして10万円以上の寄付をされた方に、絵画〈平和への道〉を寄贈させていただきます。 […]

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